大紀元時報

ミケランジェロと「ピエタ」

2021年7月31日 06時00分
javi_indy / PIXTA(ピクスタ)
javi_indy / PIXTA(ピクスタ)

ミケランジェロの弟子であり同郷であり、そして友人でもあるジョルジョ・ヴァザーリ(1511年-1574年)は、自らの著作『芸術家列伝』の中で、神がこの芸術家に道徳と智慧と才能を授け、そのため、ミケランジェロは生活においても創作においても人々から賞され、崇拝されていると褒め称えました。

サン・ピエトロ寺院に展示されているミケランジェロの傑作「ピエタ」には、小さな物語があるそうです。

この大理石の彫刻は、見る人を魅了する素晴らしい芸術性と自然の美を表しているため、当時誰もこれが若い芸術家の作品であるとは信じられませんでした。皆が鑑賞しながらあれこれ言い合っていると、ある人が突然「これは誰の作品だ?」と尋ねました。ちょうどその場を通りかかったミケランジェロは、誰かが「ミラノから来たクリストフォロ・ソラーリの作品だ」と答えるのを聞きました。そこでミケランジェロはある晩、彫刻道具と小さなランタンを手に取り、こっそりと自分の名前を刻み込みました。それ以来、聖母の胸にはミケランジェロの署名が入っています。

この偉大な作品は多くの人々に讃嘆されていますが、なかにはイエスを抱きかかえる聖母があまりにも若いことに疑問を持つ人もいました。ミケランジェロはこの疑問に「貞節を守る女性はその若い美貌を永遠に保てることを知らないのか?神様もこの点を以って彼女の美徳を証明している」と答えました。

実際、ギリシャ以降の古典的な美学の影響を受け、作品の美と高尚な精神は現実を超えると考えられることが多かったため、悲しむ聖母は若くて美しいだけでなく表情も穏やかで、通常の我が子を亡くした母親のように涙ぐんでいません。全体の美を壊さないだけでなく、ミケランジェロはこの彫刻を以って聖母の超越的な神性をも見事に表現しました。

(翻訳編集・天野秀)

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